GREトンネル速度テストが遅い原因と確認方法、速度を改善する設定

GREトンネル速度テストで下りや上りが光回線の契約値より大幅に遅い場合、GREヘッダーによるMTU不足、ルーターの処理能力、経路上の混雑、暗号化やQoS設定などを順番に確認する必要があります。

公開日 2026-09-13 最終更新 2026-09-13 カテゴリ:ガイド

GREトンネル速度テストで起きる現象

GREトンネル経由で速度テストを実行すると、通常のインターネット接続に比べて下りや上りの速度が低下したり、Pingや遅延が増えたりすることがあります。特に、大容量通信では速度が伸びず、短時間のテストでは結果が安定しない場合があります。

まず、同じ端末と同じ時間帯に、GREトンネルを経由しない接続でも測定します。Wi-Fiでは電波干渉や無線規格の影響が加わるため、原因を切り分ける際はLANケーブルを使った有線接続が適しています。

原因1:GREヘッダーによるMTU不足

GREでは元のIPパケットにトンネル用のヘッダーが追加されます。その分だけ実際に送信できるデータサイズが小さくなるため、通常の回線で使えるMTUのままではパケットが分割されたり、経路上で破棄されたりすることがあります。

パケット分割が発生すると、再送処理や処理回数が増えてスループットが低下します。特定のWebサイトだけ遅い、速度テストのサーバーによって結果が大きく変わる、上りだけ不安定になるといった症状はMTU不足の可能性があります。

原因2:ルーターのCPU負荷と処理能力

GREのカプセル化と解除は、通信機器のCPUや専用アクセラレーション機能を使用します。低性能なルーターや古いファームウェアでは、通信量が増えたときにCPU使用率が上昇し、GREトンネルのスループットが制限されることがあります。

速度テスト中にルーターのCPU使用率、メモリ使用量、温度を確認してください。通常のインターネット接続では十分な速度が出るのに、GRE経由だけ遅い場合は、回線契約よりもルーターの処理性能がボトルネックになっている可能性があります。

原因3:トンネル経路の混雑と経路品質

GREトンネルは、送信元と宛先の間にある物理回線や中継ネットワークの影響を受けます。トンネル終端までの経路が長い、特定の時間帯に混雑する、経路上でパケットロスが発生すると、速度テストの結果が低下します。

同じ条件で朝、昼、夜に測定し、時間帯による差を比較します。tracerouteやmtrなどで経路とパケットロスを確認し、Pingの増加や途中区間での損失が継続している場合は、GRE設定だけでなくプロバイダーやトンネル終端側の経路も調査対象にします。

原因4:暗号化や追加トンネル処理の負荷

GRE自体は暗号化を行いませんが、IPsec over GREなどの構成では、暗号化と復号の処理が追加されます。暗号化処理に対応した専用機能がないルーターでは、CPU負荷が高くなり、下りと上りの両方で速度が下がることがあります。

GRE単体と、IPsecなどを組み合わせた構成で速度を比較すると、追加処理の影響を判断できます。セキュリティ要件を満たす範囲で、暗号化方式、ハードウェアアクセラレーション、ファームウェアの対応状況を確認してください。

原因5:QoS、帯域制御、ファイアウォール設定

ルーターやネットワーク機器のQoS、帯域制御、アプリケーション制御がGRE通信に適用されると、速度テストの通信が意図せず制限されることがあります。ファイアウォールの詳細検査やログ取得も、通信量の多いテスト中に処理負荷を増やします。

測定時に適用されているQoSルール、帯域上限、セッション数制限、ファイアウォールの詳細検査を確認します。設定を変更する場合は、業務通信の優先度やセキュリティポリシーを維持しながら、テスト用の一時的な比較として実施してください。

GREトンネル速度テストの判断手順

  1. 端末を有線接続し、Wi-Fiの電波状況による影響を除外します。
  2. GRE経由と通常経路で、同じ速度テストサーバーを使って下り、上り、Pingを比較します。
  3. 朝、昼、夜に複数回測定し、時間帯による変動を記録します。
  4. トンネルの両端でCPU使用率、インターフェース帯域、パケットロスを確認します。
  5. MTUを段階的に変更し、パケット分割や再送が減る値を調べます。
  6. tracerouteやmtrで経路、遅延、損失の発生区間を確認します。

速度を改善するための設定と運用

最初に、GREヘッダーを考慮したMTUとMSSを設計します。端末や経路に合わない値を一律に設定すると、別の通信で問題が起きることがあるため、疎通確認と速度測定を繰り返して適切な値を決めます。

次に、ルーターのファームウェアを更新し、GREや暗号化処理のハードウェアアクセラレーションが利用可能か確認します。速度テスト中にCPU使用率が上限に近づく場合は、より高い処理性能を持つ機器やトンネル終端の構成変更を検討します。

経路混雑が原因の場合は、トンネル終端の場所、利用するプロバイダー、接続先の経路を比較します。光回線の下り速度だけでなく、上り、Ping、遅延、パケットロスを記録すると、単純な帯域不足と経路品質の問題を区別しやすくなります。

改善後は、通常経路とGRE経路を同じ条件で再測定し、平均値と最低値を比較します。1回の速度テストだけで判断せず、測定時刻、端末、接続方式、速度テストサーバー、MTU設定を記録することが重要です。